「ありき」の意味と使い方とは?誤用と類語・言い換え表現も解説

「ありき」は「結論ありき」のように使われる「すでにあったこと」を意味する文語的な言葉ですが、会話の中でも聞かれることがあります。

今回は、この「ありき」の意味や使い方、誤用のほかに類語なども解説します。「ありき」を使って恥ずかしい思いをしないように、正しい使い方を覚えておきましょう。

目次

「ありき」の意味とは?

「ありき」の意味①「すでにあったこと」

「ありき」は「すでにあったこと」「そこにあったこと」を表す表現です。過去にあったものや今あることを指して使われます。

文語的な表現なのですが、口語として使われることもあり、話し言葉として使うと「すでにあったこと」という意味が強調される表現になります。

「ありき」の例文
  • 初めに言葉ありき。
  • 富ありき生活が過ぎ去っていった。

「ありき」の意味②「前提」

「ありき」は本来の「ありき」の意味から派生して「前提」という意味があります。

「前提」という意味で使われる「ありき」は、「ありき」の前に名詞をおいて「○○ありき」という言い回しで使われることが多いです。

例文

私のモットーは、結果ありきの人生。必ず試験に合格してやるぞ。

「ありき」の意味③「決まっていたこと」

「ありき」の本来の意味から派生したもう一つの意味は「すでに決まっていたこと」です。この意味でも「○○ありき」という使い方をします。

ただこの意味で使われる「ありき」は、すでに決まっているため変えられないという否定的な意味合いが含まれます。例えば「結論ありきの会議」という例文では、結論はすでに出ていながら必要もないのに会議が行われていう意味になり、否定的なニュアンスを含んでいます。

「ありき」の意味④「仮定」

現代的な意味として、「ありき」には「仮定」という意味もあります。まだ決まっていないことや不確かなことを表現するときに使われます。「お客様ありきの商売」という例文ならば、「お客様がいるとして考えられる商売」という意味になります。

ただし、この「ありき」の「仮定」という意味は、間違っている意味だという意見もあります。本来の「ありき」の意味から派生した意味ではないからです。しかし実際にはこの用法は使われていますので、意味としては間違いかもしれないけれど使っても構わないのだと理解しておくといいでしょう。

「ありき」の漢字と古語「ありき」の意味

「ありき」は漢字で「在りき」「有りき」

「ありき」は漢字で「在りき」「有りき」の両方で書き表されます。「在りき」の「在」は「存在」という意味で、「有りき」の「有」は「所有」を意味していますが、どちらの漢字を使っても同じ意味の言葉として扱われています。

ただ「ありき」は漢字で書き表されることは少なく、一般的にはひらがなで「ありき」と書き表されます。

古語「ありき」の意味は「歩き回ること」

古語の「ありき」は「歩き回ること」という意味です。漢字では「歩き」と書き表されるので、古語の「ありき」は「ありく」と読まれる動詞「歩く」から派生した言葉だと思われます。

「ありき」は「在り来」からの派生語だと考えられる

この記事のテーマとなっている「ありき」は「歩く」から派生した言葉ではなく、古語の動詞「在り来」(読み「ありく」)から派生したと推測されます。

「在り来」の意味は「変わらずにずっと存続する」であり、「ありき」の「すでにあったこと」という意味に通じるところがあります。また「ありき」は漢字で「在りき」と書き表すことからも、「ありき」は「在り来」から派生したと考えられるでしょう。

「ありき」の使い方

名詞と合わせて「前提として」という意味で使われる

「ありき」の前に名詞をつけて「前提として」という意味で使われます。「前提」はある事柄が成り立たせるための条件という意味ですから、「お客様ありきの商売」という例文なら、その意味は「お客様がいることで成り立っている商売」になります。

「○○ありき」の例として他にも「他人ありき」「審議ありき」などが挙げられます。

名詞と合わせて「すでに決まっていたこと」という意味の使い方

「○○ありき」の使い方は、「すでに決まったこと」という意味で使われることもあります。「結論ありきの会議」という例文では、「結論があらかじめ出ていて会議は形だけ」という意味になります。

この意味で「ありき」を使うときは、この表現を使う人が「○○ありき」で語られる内容を否定的にとらえているときです。「結論ありきの会議」の例文なら「結論が出ていているのにやっても意味のない会議」というニュアンスが含まれます。

つまり「すでに決まったこと」という意味の「○○ありき」は、その内容を否定的に思うときに使われます。

「ありきで考える」とは「あることを前提に考える」

「ありきで考える」とは「あることを前提に考える」という意味で、ないことをあると仮定して使われる表現です。

仮定の意味で「ありき」を使っていることから、本来の意味からすると誤用となり正しくない表現だと考えられることがあります。しかし慣例的に使われているので、この表現も使われています。

「ありき」を使うときの注意点

将来の事柄に「ありき」は付けられない

「ありき」はまだ起こっていない将来のことと合わせて「ありき」を使うことはできません。また、たぶん将来こうなるだろう、きっとそうなるだろうといった推測される事柄とも一緒に使えません。なぜなら「ありき」は原則として過去に起こったことか、現在起きていることと一緒に使う言葉だからです。

ビジネスシーンで目標や予定など将来のことを話しているのに「ありき」が使われることがありますが、誤用ですので気を付けましょう。

「ありき」の誤用例文

営業目標ありきで戦略を立ててみよう。

「ありき」の類語・類義語と言い換え表現

類語①「前提」とは「あることを成り立たせるための条件」

「前提」とは「あることを成り立たせるための条件」という意味で、「ありき」の置き換え表現として使われます。

「お客様ありきで商売している」という例文ならば、「お客様がいることを前提にして、商売をしている」のように言い換えられます。

類語②「念頭」とは「心の中にある想い」

「念頭」とは「心の中にある想い」という意味の言葉で、心の中で想っているということは、その気持ちはすでにあったこと、または決まっていたことととらえて、「ありき」の類語として考えられます。

「お客様ありき」なら「お客様を念頭にして」や「お客様を念頭に置いて」という表現と置き換えられます。

類語➂「仮定」は現代的な置き換え表現

「仮定」とは「不確かなこと」という意味の言葉です。「ありき」の現代的な意味で「ありき」が「仮定」の意味で使われるときに置き換えられます。

「お客様ありき」なら「お客様いると仮定して」のように言い換えます。

類語④「○○のとき」はシーンを選ばずに使える置き換え表現

「○○のとき」とは、ある行為や状態を受けて「そういう場合」や「そういう状態」という意味で使われる表現です。「お客様がいるときに商売になる」のように使われます。

「○○のとき」はよく使われる表現で、「ありき」のような断定的な要素が薄く、「ありき」ほどにかしこまった表現でもない上にくだけた表現でもないので、日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われています。

「ありき」と似た表現「ありきたり」との違い

「ありきたり」とは「ありふれていること」

「ありきたり」とは「ありふれていること」という意味で、どこにでもあり珍しくないことを指したり、またありふれた状態を指すときにも使われます。

「ありき」と「ありきたり」は意味が違う

「ありき」と「ありきたり」の両方とも「在る」という意味が含まれているのですが、全く違う意味の言葉です。

「ありき」は決まったことやすでにあったことを表す言葉ですが、「ありきたり」は「ありふれている」という意味の名詞であり動名詞としても使われる言葉です。

「ありき」と「ありきたり」は違う意味の言葉ですので混合しないようにしましょう。

「ありき」の英語表現

「ありき」を英語で「based on」

「ありき」を英語で訳すなら「based on」が使えます。「based on」の意味は「~を基に」で、「based on」の後ろに名詞を使って表現します。

「ありき」の英語例文

“Based on the conclusion we will have a meeting.”
「結論ありきで会議をする」

まとめ

「ありき」は「○○ありき」のように使われることが多く、その意味は「すでにあったこと」や「前提」「決まったこと」です。ただ最近では「仮定」の意味でも使われています。誤用と考えられることもあるので、日本語の使い方にこだわりのあるような人の前では「仮定」の意味では使わない方がいいでしょう。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。