「ことづける」の意味と敬語表現とは?類語や漢字の違い・例文も

用件があって電話や訪問をしたけれど、相手が不在だった…こんなとき、伝言や物品を「ことづける」ことができれば助かります。この記事は「ことづける」の意味と漢字表記のほか、敬語での表現や使い方、言い換え可能な類語なども紹介しており、実際に語句を使う時に役立てていただける内容です。

「ことづける」の意味と使い方

「ことづける」の意味は「伝言や品物を取り次いでもらうこと」

「ことづける」とは、人に頼んで自分の言ったことや物品を取り次いでもらうことを表した言葉です。ビジネスにおける電話や面会でも、目的の人物とコンタクトが取れないようなケースはよくあります。

その場合、電話を掛け直したり日を改めて出直したりするのではなく、居合わせた別の人にメッセージや物品を託し、自分に代わって相手に伝え届けるよう依頼することを「ことづける」といいます。

「ことづける」には「かこつける」という意味も

「かこつける」とは、関係のない事柄を結んだ都合のよい「口実」という意味です。「ことづける」は『平家物語』や『源氏物語』にも書かれており、古くから使われていたことがわかります。

『平家物語・内裏女房』には「人々のもとへも詞(ことば)にてことづけ給(たま)ふ」とあります。意味は「(平氏の)人々の所へも言葉で伝言なさる」です。

『源氏物語・帚木』では、「その夜のことにことづけてこそまかり絶えにしか」とあり、意味は「その夜のことにかこつけて行くのをやめてしまいました」となります。

このように、「ことづける」を「都合のよい口実」という意味合いでも用いられていたようです。

「ことづけ」とは「伝言」「伝言する言葉」

「ことづける」は、名詞の「ことづけ」がもとになっている言葉です。本来名詞の「ことづけ」は伝言することやその言葉を指したもので、物品は対象としていませんでした。

しかし動詞の用法と同様に、「ことづけ」においても品物の取次ぎを託する意味合いで使われるケースが増えているようです。

例文

  • あいにく担当者が不在だったため、受付に資料をことづけておいた。
  • 次回の会議ですが、開始時刻が〇〇時に変更されたのでことづけてください。

「ことづて」も「伝言」方言や間違いではない

「ことづけ」と一字違いの「ことづて」は、言い間違いが広がったものや方言ではありません。漢字で「言伝」と書き、伝言やその言葉を指したものです。

ほかにも「言い伝え」や「ことわざ」という意味もあります。「ことづけ」との違いは、取り次ぐ対象に品物は含まれないという点にあります。たとえば伝言を「ことづて」として預かることはできますが、書類などの物品を預かる場合「ことづて」とはいいません。

「ことづけ」を受ける場合は「ことづかる」

伝言や物品を受け手として託された場合の表現は、「ことづかる」となります。何かをことづけるように頼まれたときには「私、〇〇がことづかります」と伝えると、依頼者に対して信頼感を与えられるでしょう。

また、ことづかった伝言や物品を報告または手渡す場合には、「○○様から伝言をことづかりました」「品物をことづかっております」と前置きしてから本題に入るとよいでしょう。

例文
連絡が欲しいという伝言をことづかっていたことを、うっかり忘れてしまっていた。

「ことづける」の漢字表記による違い

「ことづける」は漢字表記で「言付ける」

「ことづける」の漢字表記は「言付ける」です。「言」という文字には「言葉」、「付」には「わたす」という意味があることから、伝言することを表しています。

なお、「言付ける」には「いいつける」という読み方もありますが、この読み方の場合の意味は「目下への命令・指示」または「告げ口」です。両者の混同を避けたい場合には平仮名で書くか、「言い付ける」のように送り仮名を加えるとよいでしょう。

「ことづける」には「託ける」という表記も

「ことづける」にはもうひとつ「託ける」という表記があります。しかし「託ける」は、「かこつける」という別の読み方もできるのです。

そして「かこつける」と読んだ場合には意味が変わり、直接的には関係のないほかのことに無理やりこじつけることで、都合よく口実にすることを指すようになります。文脈の違いからも読み取ることができますが、平仮名で書き表すと混同を招かずにすみます。

「ことづける」の敬語表現と例文

「ことづける」そのものは敬語ではない

「ことづける」はビジネスシーンでよく用いられていますが、言葉自体が敬語に該当するというものではありません。

「ことづける」を敬語にするには、もとになっている「ことづけ」に敬語を作る接頭辞の「お」を付けて、「おことづけする」の形に変えます。あとは必要に応じて「~する」の部分を「します」などに変えるとよいでしょう。

謙譲語を使った丁寧な表現「おことづけいたします」

丁寧語の「おことづけします」でも敬語として問題ありませんが、もっと敬意を表したい場合には「~します」を謙譲語の「~いたします」に変えます。

誰かにことづけを頼んだことを相手に伝えたい場合には、「受付の〇〇様に書類をおことづけいたしましたので、ご確認のほどよろしくお願いします」とメールしておくと安心です。

ことづけを引き受けたい場合は「おことづけください」

来訪や電話を受けた際にことづけを引き受ける場合には、「おことづけください」と一声掛けると相手の負担を軽くして頼みやすくすることができます。冒頭に「よろしければ」を加えることで、押しつけがましさを与えることがなくなりさらにおすすめです。

なお、相手の要望を引き受けたいときによく用いられる「お申し付けください」の「申す」は謙譲語ですが、「おことづけください」の言い換えに使っても誤用にはあたりません。

「ことづかる」場合は「お」をつけない

「ことづける」の受け身である「ことづかる」も敬語ではありませんが、「おことづかりしました」という表現ではなく、「ことづかっております」や「ことづかって参りました」とします。

「ことづかる」を謙譲語として使っている事例がみられますが、「仰せつかる」と混同した、あるいは受け身の尊敬用法を取り違えたことが理由と思われます。

しかし、上司から伝言を頼まれたようなケースでは「伝言をことづかりました」を「仰せつかりました」に言い換えても問題はないでしょう。

「ことづける」の敬語表現を使った例文

  • 今日中にご連絡いただけるよう、A様におことづけいただけますか。
  • 申し訳ありませんが、この書類のおことづけをお願いしてもよろしいですか。
  • どうぞご無理をなさらないようご自愛くださいと、おことづけください。

「ことづける」の類語・言い換え

「伝言(する)」は人に頼んで相手に用件を伝えること

「伝言(する)」は、人に頼んで相手に用件を伝えることを表した言い回しで、「伝言してください」や「ご伝言をお願いしました」というように用いることができます。

しかし「ことづける」の言い換えとして使えるのは、物品の取次ぎをともなわないケースに限られます。なお口頭で用いる場合なら、「伝言してください」より「お伝えください」のほうが自然な表現です。

「預ける」は物品を託す場合の言い換えに

書類などの物品を託したいケースで「ことづける」の言い換えとして使える言葉は、「預ける」です。「資料をAさんに預けました」や「この書籍をお預けしたいのですが」というように用います。もっと丁寧にお願いしたい場合には、「お預かりいただけますか」という表現もおすすめです。

まとめ

「ことづける」の意味と漢字表記のほか、敬語での使い方と類語についても紹介しました。ビジネスでことづけをした場合には、後から電話やメールで相手にその旨を伝えることが大切です。

ことづけた内容や物品が相手に届いていることを確認しておかなければ、思わぬトラブルの元となりかねないのでご注意ください。