「ご苦労様」は失礼?意味や使い方・目上や業者に使える言い換えも

「ご苦労様でした」と相手をいたわったり、配達業者に「ご苦労様です」と声をかけたりする人を見かけますが、実はこの「ご苦労様」は限られた人しか使えない表現です。ここでは「ご苦労様」の意味とその使い方や「お疲れ様」との違い、目上の人に使える言い換え表現を紹介します。

「ご苦労様」の本来の意味とは

本来の意味は「他人の苦労をねぎらい、敬う」

「ご苦労様」とは、相手の苦労をねぎらい、いたわっていう表現です。相手が苦労したことや相手の骨折りをいたわったり、その努力を敬って言う際に使用します。感謝の意味を含んでも用いられる表現です。

現代では目上から目下にかける言葉として定着

元々は、相手を問わず苦労をねぎらう意味で用いられた「ご苦労様」ですが、現代では目上の人が目下の人にかける言葉として定着しています。一方で、上司や取引先の人に対して「ご苦労様」というワードを用いることはマナー違反となります。

「ご苦労様です」の失礼にならない使い方と例文

「ご苦労様です」「ご苦労様でした」を使った例文

「ご苦労様」は「ご苦労様です」や「ご苦労様でした」の表現で用いられます。目上から目下に使う表現なので「ご苦労様」だけで使われることも多いでしょう。

例文
  • 展示会の対応ご苦労様でした。来週までに詳細のレポートの提出をお願いします。
  • 名古屋出張ご苦労様です。別件で確認したいことがあります。本社に電話ください。

昔の名残で「ご苦労様でございます」と目下が発する例も

「ご苦労様」は元々は目上から目下だけでなく、目下から目上に対しても用いられた表現です。その名残として、現代でも目下から目上に対して「ご苦労様です」というシーンも見受けられます。この場合、より丁寧な表現として「ご苦労様でございます」と使われることもあります。

特に高齢の方では「ご苦労様」を相手を問わず、風習として使う人も多く、社内文化として「ご苦労様です」を広く使用する企業もあるようです。

ただし、近年のビジネスマナーとしては「ご苦労様です」は、目上から目下にかけるフレーズとして認識されています。特に理由がない場合には「目上から目下」のルールに従うのが良いでしょう。

「ご苦労様」は失礼に当たる?その根拠とは

相手との関係性では見下した印象を与えかねない

「ご苦労様」は近年のビジネスマナーでは目上が目下に対して使うワードであることから、上から目線の印象を与えることがあります。これが「ご苦労様」とは失礼ではないか、と言われる理由のひとつです。

たとえば、上司が部下に対して「ご苦労様」という分にば特段問題は起きないのですが、宅配などの出入り業者に対して「ご苦労様です」と使うと見下したような印象を与えかねません。

また、時代劇で殿様が家臣に使う「ご苦労」というフレーズのイメージから、仮に目上からの言葉であっても偉そうな印象を受ける人もいるようです。

「ご苦労様」にはあざけるようなニュアンスも

「ご苦労様」は相手の苦労や骨折りをねぎらう意味で用いられる単語ですが、一方で、無駄な努力としてあざけるニュアンスも持ちます。たとえば「朝早くからご苦労様」というと「早朝から大変でしたね」という意味にもとれますが、「こんなに朝早くからやっても無駄なのに…」と侮蔑的な意味にもとることができるのです。

口調によって印象が変わること、また受取方によっても意味が左右されるため、時に「失礼では?」と議論の対象になります。

「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い分け

立場を問わず使える「お疲れ様」

相手の苦労をねぎらう意味で使う表現には「お疲れ様」もあります。「休日対応お疲れ様です」「プレゼンお疲れさまでした」などの他、挨拶代わりとして「お疲れ様です」と使うなど、ビジネスシーンでは非常に身近なフレーズです。

この「お疲れ様」は、目下から目上に対して使えるほか、目上から目下に対しても用いられるのが大きなポイントです。ただし、目上の人に対して使う場合でも「共同で仕事を行ったもの同士」の使用に限定されます。

たとえば、取引先と展示会で協働した場合にはその相手に対して「先日はお疲れさまでした」と使うことができますが、同じ取引先でも協働していない場合には使うことができません。

年齢によっては「お疲れ様」を失礼に思う世代も

「お疲れ様」は目上の人には「お疲れ様でございます」とするとより丁寧ですが、「お疲れ様」というワードになじみがない世代もあり、高齢になるにつれ軽い印象を持たれるようです。

その懸念がある場合は「お疲れ様です」を使わずに、「先日はありがとうございました」とお礼の言葉に代えたり、そのほかの挨拶を述べるのがベターです。

挨拶代わりに用いられのは「お疲れ様」のみ

「ご苦労様」と「お疲れ様」は使う人の立場だけでなく、使用シーンもやや異なります。

「ご苦労様です」は挨拶として用いられることはありませんが、「お疲れ様です」はメールの冒頭でも用いられるように挨拶の一語としても定着しているのがポイントです。もちろん、挨拶代わりとして使う場合にも、目上の人に使うことができます。

「ご苦労様」の言い換え表現

目上の人に苦労をかけた場合のフレーズ

目上の人に苦労や面倒をかけた場合には、「ご迷惑おかけしました」というフレーズが使えます。「ご迷惑」を「ご苦労」や「ご面倒」に代えても良いでしょう。

また、「相手に何かをしてもらい、その苦労をねぎらう」という場合には、「ありがとうございました」とストレートに感謝を述べても問題ありません。

取引先や業者への労いには感謝の言葉を

「ご苦労様です」と出入りの業者に声をかける人もいますが、それでは上から目線の印象を与えることがあります。この場合、感謝の言葉に置き換えると好印象です。

「暑い中ありがとうございます」「いつもありがとうございます」など言葉を足すとより気持ちが伝わります。

「ご苦労様」に対する返し方

感謝の言葉を返すのが通例

目上の人に「ご苦労様」と声をかけられた場合は、相手にいたわってもらった事に対するお礼の言葉を述べるのが基本的な返し方です。たとえば、「いつもご苦労様」と言われたら「ありがとうございます」、「見積の作成ご苦労様」と言われたら「恐れ入ります」といった具合です。

また取引先などに「ご苦労様です」と声をかけられた場合にも「いつもありがとうございます」といった返答が可能です。

「お疲れ様でした」と返すことも

仕事を共にした人(取引先など)に「こないだはご苦労様」と声をかけられた場合には、同じく苦労をねぎらう意味を持つ「お疲れ様」という表現が使い、「お疲れさまでした」と返して問題ありません。

場合によっては「こちらこそありがとうございました」「こちらこそお世話になりました」と続けても良いでしょう。

「ご苦労様」の英語訳

英語では感謝の言葉に代える

「ご苦労様」は英語では「ありがとう」を意味する「thank you」を使い、「Thank you so much for your hard work.」と英訳されます。「ご苦労様でした」「お疲れさまでした」のいずれの英訳としても用いられる表現です。

また、上司が部下をねぎらったり、仕事ぶりを褒め称えたりする場合には「Good job!」「Great work!」が一般的です。また、素晴らしい仕事をした人には「You must be tired.(疲れたに違いない)」と声をかけることもあり、これもまた英語における褒め言葉のひとつです。

まとめ

「ご苦労様」は相手の苦労をねぎらう意味、敬う意味を持ちます。元々は立場を問わず用いられていましたが、現代では目上から目下に対してのみ「ご苦労様です(でした)」と使われています。また「無駄な苦労だったね」とあざけるようなニュアンスでも用いられることから、無礼ととられることもあるようです。これに対し、目下から目上、目上から目下の両方で使えるのが「お疲れ様」です。挨拶フレーズとしても定着していますが、仕事を共にした人以外には使えないというのがポイントです。