「くれぐれも」の使い方を例文で解説!意味や漢字・類語との違いも

昨今、感染症の流行を受け「くれぐれもご自愛ください」というメッセージのやり取りをすることが増えた、という人も多いかもしれません。この「くれぐれも」とはどういった意味でどのような使い方をするのでしょう。ビジネスシーンでよく使うフレーズを例文として紹介し、類語「どうぞ」や「どうか」との違いも解説します。

「くれぐれも」の意味とは?

「くれぐれも」の意味は「心を込めて懇願する、忠告する」

「くれぐれも」は「心を込めて懇願したり、何度も忠告したりする様」を意味する副詞です。心から何かをお願いしたり、相手に念押ししたりする意味で用いられます。

「くれぐれも」には「繰り返して念を入れる」という意味も

「くれぐれも」にはもう一つ、「繰り返して念を入れる様、何度考えても、返す返す」といった意味もあります。たとえば「くれぐれもよく言って聞かせます」はこの意味です。

ただし、こちらの意味で用いられることはあまりなく、先述の「心を込めて懇願する、忠告する」という意味での使用の方が多いでしょう。

「くれぐれも」の語源と漢字表記「呉々も」

「くれぐれも」は漢字では「呉々も」あるいは「呉呉も」と書きます。実はこの「呉々も(呉呉も)」という漢字は当て字で、「くれぐれも」の語源にはいくつかの説があります。

なかでも、何かを依頼する際に「~してくれ」ということがありますが、この「してくれ」の「くれ」を繰り返すことで「強く依頼する」ニュアンスを持たせたという説や「繰れ繰れ(くれぐれ)」つまり「繰り返し繰り返し言いますが」を省略したのが「くれぐれ」とういう説が有力なようです。

なお、一般に「くれぐれも」はひらがな表記が用いられます。漢字で書くことはまずありません。

「くれぐれも」の使い方とは?

「くれぐれも」は目上の人にも使える

「くれぐれも」は副詞であり、それ自体に敬語としての機能はありませんが、改まった場で目上の人に使用して問題ありません。「くれぐれも」の後に続く言葉、文章を敬語表現にすることで失礼なく使うことができます。

「くれぐれも」は注意を促す際に使うことが多い

「くれぐれも」は強く何かを依頼する場合にも使いますが、何らかの注意を促すことが多いのも特徴です。たとえば「くれぐれも忘れないように」「くれぐれも車には気を付けて」というように念押しして注意したい場合に使うことが多いでしょう。

「くれぐれも」は自分には使うことは少ない

「くれぐれも」を自分の行動に対して使うことはあまりありません。たとえば「虫歯にはくれぐれも気をつけないと」「失礼のないようにくれぐれも注意しよう」と自分に言い聞かせるような言い回しでは使うことも可能です。

しかし、基本的には誰かに懇願したり忠告したりする際、あるいは相手に念押しする際など”相手”がいる場合に使う表現です。

「くれぐれも」を使った例文

「くれぐれもお気をつけてお過ごしください」で気遣いを

「お気をつけください」と見送ったり、「ご自愛ください」「お体にお気をつけください」と言葉を付け加えたりすることはメールのコミュニケーションでもよくあるものです。その際「くれぐれも」と付け足すことで、心から気遣っている、心から心配していることを伝えることができます。

例文
  • 時節柄、くれぐれもご自愛ください。
  • お足元が悪いので、くれぐれもお気をつけてお帰り下さい。

「くれぐれも内密に」は念を押して、強く依頼する

「くれぐれも内密に…」の「くれぐれも」は念押しするニュアンスです。単に「内密にしてください」というよりも、「くれぐれも~」とすることでより強く依頼する意味になり、相手に機密性の高さを匂わせることも可能です。また、何かを強く依頼する場合では次のような言い回しもできます。

例文
  • くれぐれも締め切り厳守でお願いします。
  • 明日の営業会議は10時開始です。お間違えの無いよう、くれぐれもよろしくお願いします。

「くれぐれもよろしくお伝えください」は第三者に伝えてほしいとき

「○○様にもくれぐれもよろしくお伝えください」とは、第三者に感謝を伝えてほしい場合の表現です。「よろしくお伝えください」とは定型表現で、特に言付けがあるわけではないが日ごろお世話になっている感謝やお礼を伝えたい、という場合に使用します。「くれぐれも」を付け足すことで、強く依頼する意味になり、その人への感謝の気持ちの強さが伺える表現となります。

ただし、伝言を強制するニュアンスにもなりかねないため、目上の人には使用しないことが多いです。また後から改めて、自分の口でも感謝を伝えるのがベターです。

「くれぐれもよろしく」は謝罪やお詫びで使わない

「くれぐれもよろしくお伝えくださいというフレーズは、感謝を伝える場合には使っても、謝罪シーンで使うことはできません。

たとえば「この度は大変申し訳ございませんでした。○○部長にもくれぐれもよろしくお伝えください」という風に、人を介してお詫びをするのは失礼にあたります。お詫びをしたい人、謝罪すべき人がいるのであれば、本人に直接謝罪するのがマナーです。

「くれぐれも」の類語・言い換え

「くれぐれも」の類語は「ぜひ」

「ぜひ」とは「心を込めて強く願う様」を意味する語で、何かを依頼する際にそれを強調する意味で用いられます。たとえばくれぐれもよろしくお願いしますは「ぜひよろしくお願いします」に言い換えることができます。

また、「ぜひ」を強めた語「ぜひとも」もまた、「くれぐれも」の言い換えとして使えるワードです。

「何卒」も「強く望む気持ち」を意味する言葉

「強く望む気持ち」を意味する語「何卒(なにとぞ)」もまた、「くれぐれも」の類語です。「何卒よろしくお願いいたします」は定型表現のように用いられていますが、「よろしくお願いします」をより強める意味合いを持っています。この「何卒」は改まった場、かしこまった文章で用いられることが多いのが特徴です。

「くれぐれもご自愛ください」は「どうぞご自愛ください」に

「くれぐれもご自愛ください」という場合の「くれぐれも」は「どうぞ」に言い換えることができます。

「どうぞ」は、「~してもいですか?ーどうぞ」というやり取りのように、許可を与える意味でも用いられますが、丁寧にお願いする意味でも用いられます。「どうぞご理解ください」がそのよい例です。これに対し「くれぐれも」は心配のニュアンスを持つ点で区別されます。

「どうか」は無理なお願いをする際に使う

「どうぞ」と似た語に「どうか」があります。「どうか」は、無理を知りながら依頼をする際や難しい頼みごとをする際に使う表現です。

たとえば「どうか悪く思わないでください」とは「印象が悪いことは分かっているが、それでもなんとか悪い風にはとらないでくれ」という意味になります。

「くれぐれも」の英語訳

「くれぐれも」の英語訳は文脈によって変わる

「くれぐれも」を含む文章を英訳する際には、その意味によって使う英単語が変わります。たとえば、「くれぐれもご自愛ください」は「Please take good care of yourself.」となります。「please take care of yourself.」で「ご自愛ください」という意味になり、「よい、十分な」という意味の「good」を足すことで「くれぐれも」のニュアンスを出します。

また、「ご両親にくれぐれもよろしくお伝えください」は「Please give my best regards to your parents.」と英訳します。「best regards」は「よろしくお願いします」という意味でメールの末尾にも用いられます。「Please send my regards to~.(~さんによろしくお伝えください)」は定型表現でもあり、「くれぐれも」の日本語にかかわらず使うことができます。

強く依頼する際は「please」を重ねることも

「~してください」の英訳には「please」を使用しますが、この「please」を重ねて使うことで、依頼する気持ちの強さを表すことも可能です。たとえば「Please, please be careful.」で「くれぐれもお気をつけください」という和訳になります。

まとめ

「くれぐれも」は「心を込めて懇願する、忠告する」意味を持つ単語です。「くれぐれもお気をつけください」や「くれぐれもご自愛ください」など注意を促す際や念押しする意味で用いられることが多いです。「くれぐれも」は目上の人にも使える表現で、ビジネスシーンでもしばしば耳にしますが多用するとくどい印象を与えます。大切なポイントでのみ使うことで、より一層気持ちの強さを表すことができるでしょう。