「ございます」は「あります」の敬語?意味と使い方・類語も紹介

「ございます」は、ビジネスシーンでの会話や文書などでよく見聞きされる丁寧な文末表現ですが、「です」の丁寧語と理解している人も多いようです。この記事は「ございます」と「あります」「です」との関係について、意味や使い方・類語などを含めて紹介しており、同時に敬語への理解も深められる内容となっています。

「ございます」の意味とは?

「ございます」は「存在する」という意味の丁寧語

「ございます」は、「存在する」という意味を表す動詞「ある(有る・在る)」の丁寧語です。たとえば「こちらにエレベーターがある」を丁寧語で言い換えると、「こちらにエレベーターがあります」となりますが、「ございます」を使うとさらに丁寧に言い表すことができます。

「ございます」は補助動詞「ある」の丁寧語

「ございます」は、断定や状態を表す補助動詞「ある」の丁寧語としても使われています。補助動詞は形式動詞とも呼ばれる、動詞が本来の意味と独立性を失い、付属的な意味を添えるものとして用いられるようになったものです。

補助動詞は他の語と一緒に用いられることや、その意味を限定することなどが特徴で、通常ひらがなで表記されています。その他の補助動詞としては「見ている」の「いる」や、「やってみる」の「みる」などがあげられます。

「ございます」は「です」の丁寧語ではない

「ございます」は文末に使われる言葉ですが、断定の助動詞である「です」の丁寧語ではありません。

たとえば「書類がある(あります)」は「書類がございます」と言い換えられますが、「書類です」の場合はそのまま「ございます」と置き換えることはできず、助動詞「だ」の連用形「で」をはさむ必要があるのです。

「ございます」の由来は「御座る」

「ございます」は、漢字で「御座います」と書きます。貴人の席に敷く上げ畳を指す「御座(ござ)」に「有る」が付いた「御座有る」がつまって「御座る」となりました。

「御座る」は「居る・在る」の尊敬語・丁寧語として中世(室町時代から江戸時代)の頃に使われ、その後「御座る」の連用形「御座り」に丁寧の助動詞「ます」が付いた「御座ります」から「御座います」に変化していきました。

「ございます」の使い方

「ございます」は「あります」で言い換え可能

「ございます」は、「ある」の丁寧語「あります」をさらに丁寧にしたいときの言い換えに使うことができるものです。しかし、「いる」の丁寧語「います」の言い換えには、「ございます」ではなく「おられます」や「いらっしゃいます」などの尊敬語を使用します。

たとえば、「こちらにあります」は「こちらにございます」としますが、「(目上の方が)こちらにいます」は「こちらにおられます・いらっしゃいます」が正しい表現です。

なお、自分がここにいることを表す場合には、「いる」の謙譲語を使って「こちらにおります」とします。

補助動詞「ございます」の用法は品詞で異なる

「ございます」は語句の後に続けて用いるものですが、前にくる語句の品詞によってつなげ方のルールが異なっているのです。

たとえば、名詞や形容動詞に「ございます」をつづける場合は、助動詞「だ」の連用形「で」をつけて「こちらが新商品でございます」のようにします。

形容詞に続ける場合は、「美しゅうございます」のように元の形容詞のウ音便(語中・語尾の音がウに変わること)に「ございます」を続けます。

なお「です」は「ございます」とイコールではありませんが、「美しゅうございます」という表現がやや大げさなため、現在は「美しいです」のように形容詞に直接「です」をつけて表すことが一般的です。

「してございます」は正しい敬語

動詞に「ございます」を続けるときには、連用形に接続助詞「て」をつけて「ご用意してございます」のようにします。ところが「~してございます」は、敬語として正しい用法ではあるものの違和感を持つという声もあるようです。

「ございます」は「ござる」が由来であることから、「いる」と「ある」の意味を持っています。したがって「~してございます」を常体(文末に丁寧語を用いない口語の文体)に戻すと、「~している」と「~してある」に2パターンが考えられるのです。

しかし常体が「~している」となるケースでは、「ございます」ではなく「~しております」や「~いたします」を用いて、「お待ちしております」や「ご用意いたします」としたほうが違和感を持たないという声が多くなっています。

「ございますでしょうか」は敬語の誤り

「ございますでしょうか」は、丁寧な敬語として使っている事例がみうけられる表現です。しかし「こざいますでしょうか」は、「ございます」という丁寧語に同じく丁寧語の「でしょうか」が重なって用いられています。

これは二重敬語に該当するもので、「いただけますでしょうか」や「できますでしょうか」などとともに、よくみられる敬語の誤用です。正しい敬語表現は「ございますか」で、末尾に疑問を表す終助詞の「か」をつけるだけで事足ります。

「ございます」を使った例文

「存在する」の意の例文

  • お客様がお探しの商品は、こちらにございます。
  • ご質問などがございましたら、何なりとおっしゃってください。

補助動詞での例文

  • 先ほどご紹介にあずかりました、〇〇でございます。
  • 展示品を拝見しましたが、いずれも素晴らしゅうございました。

「ございます」のビジネスメールでの使い方

「ございます」は話し言葉にも書き言葉にも使える

「ございます」は中世の言葉である「御座る」が由来となっていますが、文語体ではありません。現代、文章に表すときに用いられている言葉は話し言葉に基づいた口語体で、そのなかの敬体(文末に丁寧語を用いた文体)として使われているのが「ございます」です。

一方の文語体は、話し言葉とは異なる言葉で書かれる文章の形式のことです。つまり「ございます」は口語体の丁寧語で、話し言葉と書き言葉のいずれにも使うことができます。

文章のトーンは「ございます」にあわせる

ビジネスメールで「ございます」を使うなら、文章全体のトーンやマナーのレベルに気を配る必要があります。

「ございます」は、「ござる」の連用形「ござり」に丁寧語に丁寧に助動詞「ます」がついたもので、丁寧さの度合いが高い言葉です。そのため文章全体を丁寧な文体にするとともに、尊敬語と謙譲語を正しく使い分けることも求められます。

「ございます」の類語

「あります」は使いやすい類語

「ある」という意味での「ございます」の類語としては、「あります」が言い換えとして使いやすいものです。「ございます」ほどではないものの、丁寧な言い回しとして会話・文書を問わず用いることができます。

なお補助動詞としての「ございます」の言い換えとして「あります」を使うときには、前出の「ございます」と同じ用法にしますが、やや堅苦しさが感じられる表現です。

「あらせられます」は「ある」の尊敬表現

「あらせられます」は、「ある」の未然形「あら」に尊敬の助動詞「せる」「られる」がついた「あらせられる」がもとになっており、ここに丁寧の助動詞「ます」が続いて構成されています。

「〇〇様は、こちらにあらせられます」のように「在る」「居る」という意味の動詞としても、「ご壮健であらせられる」のように「で」をつけて補助動詞としても使うことができるものです。

「おいでになります」は「居る」の尊敬語

「おいでになります」は、「居る」の尊敬語です。したがって、「ございます」を「居る」という意味で使いたいときの言い換えとして、「おいでになります」を使うことができます。

なお「おいでになります」には、「居る」のほかにも「行く」「来る」という意味もあるので、使用の際には注意が必要です。

まとめ

「ございます」について意味や敬語の種類のほか、使い方・類語なども紹介しました。「ございます」は「ある」という意味合いで使われるケースが多くなっていることから、謙譲語のようなニュアンスで自社や自身のことを指すときに適した言葉になっています。

敬語として誤りではなくても、違和感を持つ人が増えている用法は避けておいたほうが無難でしょう。