「及第点」の意味と使い方とは?「合格点」との微妙な違いも解説

仕事の出来に対して「及第点だね」と評価されることがありますが、この「及第点」とはどういった意味なのでしょう。「及第点」の意味と読み方をはじめ、使い方を詳しく解説します。また、似た意味を持つ「合格点」とのニュアンスの違いや「及第点」の言い換え、英語訳など関連用語にも触れています。

「及第点」の意味と読み方とは

「及第点」とは「合格するのに必要な点数」という意味

「及第点」とは「合格するのに必要な点数、合格するための最低限の点数」という意味です。

そもそも「及第点」の「及第」には「試験に合格すること、一定の基準に達していること」という意味があります。この場合の「第」とは大きな屋敷=中国の古い政府を指し、「第に及ぶ」と書き「役人として働くための試験に合格すること」を意味していました。また、元々は「最大限の結果」という意味で用いられていたそうです。

「及第点」は「ギリギリ合格」のニュアンスを持つ

「及第点」は「合格するギリギリの点数」というニュアンスを持つのが特徴で、転じて「ギリギリ合格」や「まずまずの結果」を指して「及第点」と使用されます。たとえば、80点合格のテストで80~89点程度の点数であれば「及第点」と呼ばれるでしょう。このほか具体的な数値を伴わない場合でも、「ギリギリOK」「まあまあの出来」といったニュアンスで用いられます。

読み方は「きゅうだいてん」が正しい

「及第点」は「きゅうだいてん」と読みます。よくある誤読例では「くだいてん」や「しだいてん」が挙げられますが、正しい読み方は「きゅうだいてん」です。また、「合格」の次点の点数という意味で「次第点」と使う人も見受けられますが、「次第点」という熟語はありません。

「及第点」の使い方

「及第点を取る」「及第点に達する」と使う

「及第点」は「及第点を取る」「及第点に達する」といった使い方をすることが多いです。この場合は「まずまずの結果」というニュアンスで、合格点に達しているものの”非常に良い結果”ではない場合に使用します。

例文
  • 一夜漬けのおかげでなんとか及第点に達することができた。
  • 及第点を取ることができてほっとしている。

「及第点以下」とは悪い結果を意味する

「及第点以下」とは合格ラインではあるものの、あまり良い結果ではないことを示唆する表現です。「以下」はその値を含む意味で用いられるため、「及第点以下」も「及第点を含む」と考えることができます。「及第点=ギリギリ合格」ではあるものの、この場合は「以下」という表現を付け足しているため、合格ラインすれすれかともすれば不合格といった印象も与えかねないでしょう。

一方で、「及第点以上」というとギリギリ合格というラインではなく「良い結果になった」というポジティブなニュアンスにとることができます。「及第点以上の出来だ」「及第点以上の活躍だ」など表現が可能です。

ビジネスなど具体的な数値がない場合にも使える表現

「及第点」は例えば資料の質やプレゼンの出来など、明確に数値化できない場合にも用いられます。この場合は「一定基準を満たしている」というニュアンスになり、「まあまあの出来」「まずますの出来」といった意味になります。

例文
  • 役員連中を前にあれだけのプレゼンができれば及第点と言えるだろう。
  • 短期間でこれだけの資料をそろえたのだから及第点の評価をもらえてもいいはずだ。

「及第点」は褒め言葉としては使わない

「及第点」は合格ラインに達していることを意味する表現ですが、実際には褒め言葉として使うのは難しいでしょう。たとえば「短期間でこれだけできれば及第点だよ!」と使った場合、「短期間にしては良い出来だ」という意味では褒め言葉かもしれませんが、実際にクオリティが高いものではないという評価には変わりありません。

このように、「新人としては~」「短期間にしては~」というように前提付きでは褒め言葉になり得ますが、必ずしも褒め言葉とはならない表現です。また、「ギリギリ」「まずまず」といったニュアンスは皮肉として相手に伝わることもあります。

「及第点」の類語とその違い

「及第点」より「合格点」がポジティブな意味に

「及第点」の類語は「合格点」です。「合格点」は文字通り「合格と判断できる点数」を意味します。「及第点」もまた「合格点」ではあるのですが、言葉としてのニュアンスは大きく異なります。

「及第点だね」はともすれば皮肉にもなることは先述した通りで、相手の努力を褒め称える場合には「及第点」よりも「合格点だね」とした方が適切です。「ギリギリ」「まずまず」といったネガティブな意味を含まないため、「合格点」はポジティブな印象となります。

「まずまずの出来」「悪くない」と言い換えも可能

「及第点」は「まずまずの出来」「悪くない」などの表現に言い換えることができるでしょう。100点満点ではないものの、「ある程度は納得のいく結果だった」というニュアンスを出すことができます。

ネガティブな言い換えでは「それなり」「そこそこの出来」

一方で、「それほど褒められた結果ではない」という意味では「それなりの結果」「そこそこの出来」と言い換えることもできます。「それなり」とは問題や不満があるものの、ある程度の満足が得られている様を意味します。「そこそこ」もまた、十分ではないものの一応のレベルにある様を指す表現です。

「妥協点」は異なる意味の熟語

「妥協点」とは「対立しているものが互いに歩み寄り、一致できる点」を意味します。ビジネスシーンでは「妥協点」を探ることは多々ありますが、「妥協点」には「及第点」のように”合格””不合格”に関する意味合いはありません。類語ではなく、全く異なる意味を持つ表現です。

「及第点」の対義語とは

反対の意味を持つのは「落第点」

「及第点」と反対の意味を持つのは「落第点」です。「落第点(らくだいてん)」とは、「一定の基準に達しない点数、合格できない点数」を意味します。「及第点」はギリギリではあるものの合格ラインに達していることを意味しますが、「落第点」は有無を言わせず不合格である点で対義的です。

「赤点」や「不合格」も対義表現

「及第点」の類語が「合格点」であることなどを考慮すると、「赤点」や「不合格」なども「及第点」とは反対の意味を持つ表現ということができます。「赤点」とはいわゆる「落第点」のことで、成績表などに赤い色で記されることから「赤点」との呼び名になったとされています。

「及第点」の英語訳

英語では「passing grade」

「及第点」は英語では「passing grade」あるいは「passing mark」と英訳されます。いずれも「合格点」を意味する表現ですが、英語では「及第点」も合格ラインに達している意味を持つことから、「合格点」も「及第点」も同じ表現を使うようです。

一方で、「及第点」の持つ「ギリギリ合格」というニュアンスを出したい場合には、「かろうじて合格だった」あるいは「もう少しで不合格だった」と英訳することも可能です。

例文
  • I think he gets a passing mark as a Roukie.(新人としては及第点だと思う)
  • I barely pass the exam.(かろうじて試験に合格した)
  • I almost failed the exam.(もう少しで試験に落ちるところだった)

まとめ

「及第点」とは「合格するのに必要な最低限の点数」という意味で、「ギリギリ合格」「まずまずの結果」という意味で用いられます。具体的な数値を用いない場合でも使うことができ、ビジネスシーンでは仕事の出来や働きぶりを評価する意味で用いられることも多いです。

一方で、合格ラインではあるものの「ギリギリ」というニュアンスをふくむ「及第点」は、褒め言葉としては使いにくく、使用には配慮も必要です。相手を褒める意味では「合格点」とした方がストレートで嫌味のない好意的なニュアンスとなります。