「応酬」の意味と類語とは?ビジネス会話での応酬話法や例文も紹介

「応酬」という言葉は、ビジネスだけでなく日常生活のなかでもよく見聞きされるものですが、緊張関係を連想される言葉でもあるため用法には注意が必要です。この記事では、「応酬」の意味と使い方を例文とともに示し、「報酬」との違いや類語、ビジネスでの会話で用いられる「応酬話法」などについて紹介しています。

「応酬」の意味とは?

「応酬」の意味は「相手に報いること」

「応酬(おうしゅう)」の大まかな意味合いは、相手の言葉や行為に報いることです。熟語に用いられている「応」という文字は「こたえる」「返す」という意味を持ち、他からの働きかけに合わせて行動することを表しています。

もう一つの文字である「酬」は、客人から返された杯に主人が再び杯を差し出して酒を勧めることを表した文字で、訓読み(表外読み)の「むくいる」からもわかるように、「むくいる」「返す」ことを指したものです。「応酬」の意味合いには、これら二つの文字の意味が反映されています。

「応酬」は「やりとりすること」を表す

「応酬」は、やりとりすることを指して用いられる言葉で、相手から受けたものごとに見合ったものを返すことを指すものです。

たとえば手紙を受け取ったら返事を出す、何かを問い掛けられたら返答するというように、自分と相手との間でのものごとや行為のやりとりのことを意味しています。

「応酬」には「やり返す」という意味も

「応酬」は「ヤジの応酬」や「ラリーの応酬」というように、お互いにやり返すという意味でも使われます。

「酬」という文字が本来持っている意味合いは「返礼」という穏やかなものです。しかし相手の言動が攻撃的なものであった場合には、「やられたらやり返す」というような復讐の意味合いを含んだものになるため、状況によって修羅場の様相を呈してくることも少なくないようです。

「議論が白熱化する」という意味合いもある

「応酬」には、議論が白熱化するという意味合いもあります。「会話の応酬」や「言葉の応酬」という場合には、活発な議論によって白熱化した討論がみられることもあります。

なおディベートでは激しい言葉の「応酬合戦」が行われることから、言葉で相手をねじ伏せるものと受け取られることが多いようです。しかし、本来「ディベート」は「論破」ではなく、「説得」することを目的としています。

「応酬」の使い方と例文

「応酬」は仕返しという意味合いでよく使われる

「応酬」は、贈られた詩歌などに返事をすることやその返しのことを表しても使われていました。また、お酒を酌み交わすという意味合いもあるものです。

しかし現在では、お互いに一歩も引かずに意見を戦わせたり、延々と仕返しが続いたりしているような場面でよく使われています。

  • 嫌味を言われたので負けずに応酬したが、大人げなかったと反省している
  • 選挙でネガティブキャンペーンの応酬が繰り広げられているが、有権者はうんざりしている

「応酬を交わす」は「繰り返し意見交換すること」

「応酬を交わす」は、会議などで賛成・反対を交えて繰り返し意見交換することを表した言葉です。

「交わす」はお互いにやり取りしあうことを指しており、「応酬を交わす」はやり取りが何度も繰り返されて、議論が長く続く様子を指しています。

  • 今後の方針について応酬を交わしたが、結論に至ることはできなかった

「応酬を重ねる」は「同じやりとりを何度も繰り返すこと」

「応酬を重ねる」は、やりとりを何度も繰り返すことを指した言葉です。「重ねる」には同類のものや同じことを繰り返して加えるという意味があります。

したがって、結論への到達を目指すというよりは、同じことを繰り返すという意味合いで使われるものです。

  • 久しぶりに会った級友たちと、心置きなく杯の応酬を重ねた。

ビジネス会話における「応酬話法」とは

「応酬話法」とは顧客対応のための会話術

「応酬話法(おうしゅうわほう)」とは、顧客とのやりとりにおけるセールストークのことです。営業においては、相手の反対や断りを切り返すための話法として活用されています。

しかし「応酬話法」は営業だけではなく、接客や事務など顧客と直接関わりを持つ業種にも幅広く役立てることができるものです。

「応酬話法」は顧客とのやりとりをパターン化したもの

顧客とのやりとりは、業種や状況によってさまざまなものが考えられますが、よく観察すると一定のバターンがみられるものです。それらのパターンに対応するトークをまとめたものが「応酬話法」で、以下の5つがよく知られています。

  1. 質問話法:顧客に質問に即答せず、質問を返すことで相手の真意を確認する話法
  2. YES BUT法:顧客の反対意見をいったん肯定したのち、こちらの意見を述べるという話法
  3. 例話法:身近な例や提案商品の導入事例などのたとえ話を用いて、イメージを具体化させる話法
  4. 聞き流し話法:議論を避けるために一度その話題から離れ、別の話題をはさむ話法
  5. ブーメラン話法:「だからこそ~です」というように、顧客の否定的な意見を切り返す話法

「応酬話法」は顧客とよい関係を築くためのもの

「応酬話法」は、顧客をうまく言いくるめて商品やサービスを売りつけるためのものというイメージを持たれるかもしれませんが、そうではありません。

むしろ顧客のニーズを的確に把握し、顧客にとってよりよいサービスや取引を提供するためのものなのです。それがお互いのメリットとなり、末永く良好な関係を維持することにつながります。

「応酬」と「報酬」の違いとは

「報酬」とは「労働や行為に対する謝礼の金品」

「応酬」と一字違いで語感も似ている語句として、「報酬(ほうしゅう)」があげられます。

労働や骨折りなどへの謝礼となる金銭や品物のことを指すもので、労働法では「賃金」と呼んでいるものを社会保険分野で指すときの呼び方としても認識されているものです。

「報酬」は「好ましいもの」を返す

「報酬」には「返礼」という意味合いがあり、相手の行為への感謝として金銭や物品を渡すものです。

一方の「応酬」は、相手からの攻撃や悪態に対して「やり返す」「仕返しする」という意味合いが強く、ネガティブなものごとを返すことを指します。また、「応酬」では言動を返すことが一般的です。

したがって「応酬」と「報酬」を互いに言い換えとして使うことはできず、「労働への応酬を支払う」や「罵詈雑言の報酬が続いた」などの用法は誤っています。

「応酬」の類語とは

「報復」とは仕返しをすること

「報復(ほうふく)」は、仕返しすることを指した言葉です。国際関係では、外国から受けた不当な行為に対して「報復措置」を取ったり、自国の輸出品に掛けられた高い関税に対抗して、「報復関税」として相手国からの輸入品に高い関税を掛けたりするなどの事例がみられます。

「報復」と「応酬」の意味合いは似ていますが、「応酬」のほうが繰り返して行われるというニュアンスを強く持っており、「報復の応酬」は「報復」が繰り返されることを表すものです。

「応答」とは呼びかけに答えること

「応答(おうとう)」とは、呼びかけや問いかけに答えることです。会議などで設けられている「質疑応答」では、疑問点への質問やそれに対する答弁などがやりとりされています。

「応答」は言葉や文書で行われることと、攻撃的な意味合いはないということが、「応酬」とは異なっている点です。

まとめ

「応酬」の意味や類語のほか、「報酬」との違いやビジネスでの会話で用いられる「応酬話法」について紹介しました。一般的に「応酬」には仕返しというニュアンスが強くありますが、ときには毅然とした態度を示すことも必要でしょう。しかし「応酬話法」は顧客との良好な関係を築くためのものであるため、場合によっては上手に引くこともできるようになっておきたいものです。