「懸念」の意味と類語「懸案」の違いとは?使い方の例文や対義語も

「業務への影響を懸念する」や「懸念事項」「懸念材料」など、ビジネスでは不安なことや心配なことを「懸念」というワードで言い表すことがあります。この「懸念」の詳しい意味をはじめ、使い方を例文で詳しく解説しましょう。また、「懸案」をはじめとした類語や対義語、英語訳など関連用語も紹介します。

「懸念」の意味とは?

懸念とは「気になって不安になること」という意味

「懸念」とは「気になって不安になること」という意味で、端的に言うと「気がかりなこと」や「心配なこと」を意味します。気になった事柄が心から離れない様を指す単語で、「執着すること」という意味もあります。

「懸念」の読み方は「けねん」

「懸念」は「けねん」と読みます。「懸念」の「懸」には「ひっかかる、気にかかる」という意味が、「念」の字には「思い、気持ち」という意味があります。

古くは「けんねん」や「けんにょ」という読み方をした時代もあったようですが、現代では「けねん」という読みが一般的です

「懸念」は仏教用語に由来する

仏教用語としての「懸念」は「一点に思いを集中させること」という意味です。仏教では「念」を「気を付けること、注意深くあること」という意味で使うことから、「懸念=集中すること、執着すること」という意味合いになるようです。

この仏教用語としての意味が派生し、「気になって不安になる」というニュアンスで一般的にも使われるようになったとされています。

「懸念」の使い方と例文

「懸念する」や「懸念される」と使う

「懸念」はこれから先に起こりうる出来事を気にかける、心配する意味で用いられます。「懸念する」と使うと「不安に思う、心配する」という意味です。「懸念される」と使うことも多く、たとえば「悪影響が懸念される」は「悪い影響があるのではないかと気がかりである」という意味になります。

例文
  • 本件による経営への影響を懸念している。
  • 冬場は特に感染症の蔓延が懸念される時期だ。

「懸念をする」は誤った使い方

「懸念する」と使うことは多いですが、「懸念をする」とは言いません。「懸念を~」の言い回しでは、「懸念を抱く」「懸念を示す」などの表現が挙げられます

「懸念を抱く」は「不安な気持ちを持つこと、不安な感情が生まれる事」を意味します。「懸念を示す」とは気がかりであることを言動で表す際に用いる表現です。

例文
  • 君が懸念を抱くのもむりはないだろう。
  • 開発担当が納期への懸念を示したため、全体をリスケジュールすることになった。

「懸念が残る」とは「心配ごとがまだある」の意味

「懸念が残る」とは「心配ごとがまだある、不安が解消されていない」という意味です。問題となっていたことが一部解決されたものの、そのすべてが解決したわけではない、というニュアンスになります。

一方で「懸念」をすべて解消する様は「懸念を払しょくする」と表現します。「払しょく」とは「すっかり取り除くこと」を意味し、「払拭」の漢字表記でも用いられます。

「ご懸念」の形で使うことも

「ご懸念」とは、敬語の意味を持つ接頭辞「ご」をつけ、目上の人の心配事や気にかかっている事柄を気遣う意味で用いられる表現です。「ご懸念がある場合は遠慮なくご連絡ください」などの言い回しで使います。

「懸念点」「懸念事項」は不安なこと、気になること

「懸念点」や「懸念事項」は不安な点や気になることを指す表現で、ビジネスでは頻繁に用いられます。心配なことだけでなく、課題や問題を指して使うこともあります。

例文

懸念事項をまとめておいてほしい。

「懸念材料」とは「心配のもと」

「懸念材料」とは「懸念する要素」のことで、「心配のもと、不安にさせている原因」を指して使います。「懸念点」や「懸念事項」と似たようなニュアンスで使用されることもあります。たとえば、「唯一の懸念材料は~だ」「懸念材料として~が挙げられる」などの言い回しが可能です。

「懸念」の類語や言い換え表現とは?

「懸案」は「解決されていない事柄」を指す

「懸案(けんあん)」とは「解決されていない事柄、問題」という意味です。特に、解決しなくてはならないものの解決されていない問題、長い間問題になっているものの解決されずにある事柄に対して使用します。

「懸念」がこれから起こることに対する不安を意味するのに対し、「懸案」は以前起きた物事に対して使うことが多いというのが大きな違いです。また「懸念」では「懸」を「け」と読みますが、「懸案」では「けん」と読む点もポイントです。

「懸念」の類語には「憂慮」「杞憂」も

「懸念」と似た意味の表現では「憂慮(ゆうりょ)」や「杞憂(きゆう)」も挙げられます。「憂慮」とは「非常に心配すること」という意味です。一方「杞憂」は同じ心配でも「しなくてもよい心配をすること」を意味します。

「事態を憂慮する」と使うと「(その)事態を非常に心配している」、「杞憂に終わった」と使うと「心配していたが何事もなく終わった」といったニュアンスになります。

「危惧する」も「懸念」と似た意味の表現

「懸念する」は「危惧する」とも近い意味の表現です。「危惧」とは「危ぶむこと、(悪い結果になるのではないかと)恐れること」を意味します。「懸念」よりも危機が迫っているニュアンスがあり、緊張感のある表現です。

「懸念」の対義語とは?

反対の意味を持つ語は「安心」や「安堵」

「懸念」と反対の意味を持つ単語では「安心」「安堵」が挙げられます。いずれも「気がかりなことから解放され、心が落ち着いている様」を意味する単語です。

なお、「安心」には、「心配がない状態が続く」という意味もあるため「安心して~できる」の形で使うことができますが、「安堵」はこのような使い方はしません。「安堵」は主に書き言葉として「安堵する」「安堵した」と使います。

「放念」も対義語のひとつ

「懸念」と反対の意味を持つ単語では「放念(ほうねん)」も挙げられます。「放念」とは「気がかりなことをわすれて、心にとめないこと」という意味です。自分自身に対して使うのではなく、相手に対して「忘れてください、気にしないでください」という意味で「ご放念ください」と使うのが一般的です。

たとえばこちらから依頼する際に「もし難しいようであればご放念ください」としたり、相手側がミスを謝罪してきた際に「どうぞご放念ください」と寛容を示したりする例が挙げられます。

「懸念」の英語訳とは?

「懸念」は英語では「concern」

「懸念」を意味する英単語では「concern」が挙げられます。「不安」というニュアンスでは「fear」や「worry」「anxiety」なども挙げられますが、「懸念がある」や「懸念してる」の英語訳としては「concern」がメジャーです。

「懸念」の英語例文

  • There is a concern about security.(セキュリティに懸念がある)
  • I’m concerned about security.(セキュリティを懸念している)

まとめ

「懸念」は「不安になること、気がかりに思うこと」を意味する表現で、ビジネスシーンでは「心配」のややフォーマルな表現として広く使用されます。「懸念する」「懸念される」のほか、「懸念点」「懸念事項」「懸念材料」といった表現で課題点を言い表す際にもしばしば用いられます。「懸念」とニュアンスが近い表現は「憂慮」、「懸案」は語感は似ているもののかねてからの問題に対して使用される表現です。