「具現化」の意味とは?具体化・可視化との違いや対義語も解説

イメージを形にしたり、芸術作品として表したりすることは「具現化する」と表現されることがあります。この「具現化」とは具体的にはどういった意味を持ち、どう使うのが正しいのでしょう。類語「具体化」「体現化」「可視化」とのニュアンスの違いや対義語、英語訳と共に、「具現化」の意味と使い方を解説します。

「具現化」の意味とは

「具現化」とは「具体的な形をもつものにすること」という意味

「具現化」とは「アイディアや空想など頭の中で考えている物事を、具体的な形のあるものにすること」を意味します。頭の中で思い描いていた構想を実現すること、という意味でもよく用いられます。

読み方は「ぐげんか」

「具現化」は「ぐげんか」と読みます。「実際に、具体的な形に表すこと」という意味の「具現(ぐげん)」と「かわる」という意味の「化」という漢字で成り立つ熟語です。

「具現化」の使い方と例文

「具現化する」「具現化できる」などと使う

「具現化」は「具現化する」「具現化できる」などの言い回しで使用されることが多いでしょう。頭の中にあるアイディアや目標、夢など今現在では「まだ形となっていないもの」を対象として使用します。加えて、「具現化した」という場合には「目に見える形、具体的な形を持つものとなっている」点も使用におけるポイントです。

例文
  • 目標を具現化できるかどうかは、努力だけでなくプランニングも重要だ。
  • イメージを商品として具現化するために、詳細をつめる。

また、一般にはアイディアや目標といったポジティブな言葉とともに用いることが多いものの、「悪意を具現化する」のようにネガティブな思いを形にする場合に使用する例もあります

芸術作品における使用例

「具現化」は芸術作品に対してもよく用いられます。たとえば、作者の思想や人生観が作品に表れている、作品から伝わるという意味で「作者の思想が具現化している」や「~を具現化した作品」という風に使用します。また、特定の分野での功績をたたえる意味で「~を具現化した人だ」という使い方も可能です。

例文
  • 彼は、原作の世界観を見事に具現化する監督として有名だ。
  • 70年代の若者の苦悩を具現化したような作品だ。
  • ○○は彼の長年の思いを具現化した作品として評価を集めている。

「具現化」と「具体化」の違いとは

「具体化」とは「抽象的なことを形にして表すこと」

「具現化」とよく似た表現に「具体化」があります。「具体化」とは、「抽象的な事柄を実際に形にして表すこと」を意味します。たとえば「計画を具体化する」「具体化して説明してほしい」などといった使用が可能です。

「具体化」は「体系化する」という意味がポイント

「具現化」も「具体化」も目に見える形にする、手で触れるものにするという意味で似た使い方をしますが、「具体化」は「体系化する、整理する」という意味を伴うのがポイントです。主に、ぼんやりとしていたことをはっきりさせる、という意味で用いられます。たとえば「計画を具体化する」とはぼんやりとした計画を実現に向けて整理し、明確にするという意味になります。

これに対し「具現化」は「何もないところから形あるものにする」というニュアンスがポイントです。形はなくても明確な思い、考えがある場合に用いることが多く、思想や夢などを対象にした使用が目立ちます。

「具現化」のその他の類語

「体現化」も「具体的な形に表すこと」を意味する

「体現化」とは「具体的な形に表すこと」という意味で、「具現化」とほぼ同じ意味を持つ表現ということができます。特に、思想や観念など精神的な事柄を形としてあらわす際に使用されるのが特徴で、「身をもって実現する」というニュアンスです。

そのため人を指して用いられることが多く、作品など物を指す場合には「具現化」を使うことが多いでしょう。とはいえ、はっきりとした使い分けの定義があるわけではなく、「理想を体現化する」「理想を具現化する」とどちらの表現でも大きな違いはないとされています。

「可視化」は単に「見えるようにすること」

「可視化」とは「人の目には見えないものに形を与え、見えるようにすること」という意味です。映像やグラフなどを用いて、目に見える形にすることを指す表現として、ビジネスでもしばしば用いられます。たとえば、「アイディアを可視化する」というと、「他の人にも分かるように、図などを用いて目に見える形で表す」という意味です。

これに対し、「アイディアを具現化する」というと「アイディアを(商品などの)形あるものとして現実のものにする、実現する」という意味になります。「具現化」には理想を実現するというニュアンスが含まれますが、「可視化」は単に「目に見えるようにする」という意味に留まるのがポイントです。

「具象化」「実体化」も類語

「具現化」の類語では「具象化」や「実体化」も挙げられます。

「具象化(ぐしょうか)」とは「具体的な形として表現すること」という意味です。美術の分野で用いられることが多く、「思いを具象化して描く」などと使用します。風景や人物を見える通りに描くことを指しても用いられます。

「実体化」とは「観念を実物として形作ること」「漠然としているものを客観的に、形あるものにすること」を意味します。この「実体化」は哲学用語としてもよく知られる表現です。

「具現化」の対義語

反対の意味を持つのは「抽象化」

「具現化」と反対の意味を持つ表現は「抽象化」です。「抽象化」とは、「注目すべき部分のみを抜き出し、それ以外は取り除くこと」という意味です。そもそも「抽象」には、ものごとからある要素・側面・性質を抜き出して把握することという意味があります。注目すべき部分以外は排除するため、曖昧であったり大雑把であったりするのが特徴です。

「抽象化」は、「具現化」の類義語として挙げた「具体化」や「具象化」の対義語です。そのため、「具現化」とも反対の意味を持つということができます。

「仮想化」とは「仮に考えること」

仮想化」とは「実際にはないものを仮にあるものとして考えること、仮定して想像すること」という意味です。コンピュータの分野でよく用いられる単語で、「サーバの仮想化」などの表現が使用例として挙げられます。

「(実際にはないものを)具体的に形あるものにする」という意味の「具現化」とは対義的表現と言えるでしょう。

「具現化」の英語訳

「具現化」は英語で「embody」

「具現化」は英語では「embody」という単語が使用できます。「embody」には「(抽象的な物を)具体化する、具象化する」という意味があり、日本語の「具現化する」の意味でも使用することができます。

たとえば「She embodied her belief in her painting.」は「彼女は自分の信念を絵で具現化した」との和訳が可能です。

「shape」を使った英訳も可能

「具現化する」の英語訳では、「shape(形、形作る)」を使うことも可能です。たとえば、「Finally, the plan was brought into shape.(その計画はようやく、具現化された)」や「Put idea into concrete shape. (考えを具現化[具体化]する)」などの使用が挙げられます。

まとめ

「具現化」とは「具体的な形のあるものにする」という意味です。頭の中にあるアイディアや構想を形のあるものにする、実現する、という意味合いで用いられることが多いです。一方で「悪意を具現化する」などといった使用も可能です。

また、似た語感の表現「具体化」は「抽象的な事柄を形にする」という意味で「具現化」と共通する部分もありますが、「体系化して整理する、明確にする」といった意味合いを伴う点がポイントです。