「なし崩し」の意味は?「なし崩し的に」の使い方や類語・対義語も

「借金をなし崩しにする」というように、「なし崩す」という表現を使うことがあります。「なし崩し」はビジネスシーンでもよく使われますが、間違いも多い言葉の一つです。相手に誤解を与えないよう、正しい意味を把握しておきましょう。

ここでは「なし崩し」の意味や漢字表記のほか、間違いやすい例と類語・対義語を紹介します。

「なし崩し」の意味と漢字は?

「なし崩し」の意味1「借金を少しずつ返すこと」

「なし崩し(なしくずし)」とは「借金を少しずつ返していく」という意味があります。借りた金を一気に返そうとしないで、焦らず少しずつ返済することを表します。

つまり、一般的な「借金返済」の手段や方法として使われる言葉となります。

「なし崩し」の意味2「少しずつ片づけていく」

「なし崩し」には「少しずつ片づけていく」という意味もあります。仕事や一般的な物事に対し、急ぐことなく、いくらかずつ完結させていくことを表します。

もともと「なし崩し」は「借金を一度に返し切らないで、ちょっとずつ無理のないように返済していく」という意味があります。そこから転じて「少しずつ片づけていく」というように、広い意味で使われるようになりました。

「なし崩し」は漢字で「済し崩し」

「なし崩し」の漢字表記は「済し崩し」です。「済し」とは「借金」、また「崩す」は「ちょっとずつ細かくしていくこと」を表しています。

このように「なし崩し」が「借金の完済に向けて、少しずつ返済していく」という意味で作られた言葉であることが理解できます。

「なし崩し」の使い方と例文

「なし崩し的に」という使い方が多い

「なし崩し」をビジネスシーンで使う際、「なし崩し的に」という言い回しをすることがあります。これは「勢いを増しながら、少しずつ着実にゴールに向かって進む」というようなニュアンスで使われます。

「なし崩し的に」とは、ある状況下において徐々に軌道に乗り始めたり、ゆっくりでも後退することなく一歩ずつ前に進むような状況を表します。

たとえば、「毎日顔を出している担当企業から、なし崩し的に発注が入るようになった」という文章では「以前はそうではなかったが、努力の甲斐あって徐々に発注が入るようになった」というニュアンスです。

「無かったことにする」の意味で使うのは間違い

「なし崩し」は使い方の間違いが多い言葉の一つです。「なし崩し」の漢字表記を「無し崩し」と誤って解釈し、「無かったことにする」「無駄にする」の意味で使ってしまう場合が見受けられます。

「なし崩し」には「無かったことにする」という意味はないため、正しい漢字表記「済し崩し」をあわせて覚えておきましょう。

「台無しになる」という意味でも使わない

「なし崩し」の間違いにはもう一つ、「台無しにする」という意味で使ってしまうことがあります。「なし崩し」の「崩し」を「崩れる」「壊れる」というイメージで解釈してしまうことが原因でしょう。「なし崩し」を「台無しにする」という意味で使うのも間違いとなりますので気をつけましょう。

「なし崩し」を正しく使った例文

  • プレゼンに使う大量の資料は、なし崩しにコピーしていくしかない
  • 複雑なクレームだからこそ、なし崩しに処理していくのがベストなのではないか
  • 一気に企業風土を消滅させるのではなく、なし崩しに少しずつ変化を試みた方がよい

「なし崩し」の間違った例文

  • 部長が反対しているので、この企画はなし崩しになりそうだ
  • 彼女との関係はなし崩しになり、またひとり身となってしまった
  • 昇進の話がなし崩しにならないよう、努力を続けていきたい

「なし崩し」の類語とは?

「なし崩し」の類語1「徐々に」

「徐々に」は物事が少しずつ変化したり、進行することを意味します。動作や行動などの動き方がゆるやかで、一歩ずつじわじわと変化する様子です。

「徐々に」の「徐」は「おもむろ」とも読み、「落ち着いて静かに事を始める様子」という意味があります。「徐々に」と同じ言葉を重ねることで、強調の意を表しています。

「なし崩し」の類語2「じっくり」

「じっくり」とは物事を落ち着いて行うことを意味します。課題や難題にゆっくりと取り組んだり、急ぐことなく時間をかけて何かをすることを表します。

「なし崩し」の類語3「コツコツ」

「コツコツ」とは、地道に物事を進めたり取り組むさまを表す言葉です。何があっても諦めず着実に働く姿や、たゆまなく努めゴールに向かって励むさまを意味します。

また、漢字で「コツコツ」は「兀々」と表記します。「兀」には「一心に努力をすること」という意味があり、漢字を重ねることで強調の意を表しています。

「なし崩し」の対義語とは?

「なし崩し」の対義語は「一遍に」

「一遍に(いっぺんに)」は「一度に」「いちどきに」という意味です。たくさんの事柄を一度にまとめて行ったり、一気に最後までやりきることを表します。「一遍」の「遍」とは回数を数える語の一つで、「度」や「回」などと同義的な意味があります。

「矢庭に」も「なし崩し」の対義語の一つ

「矢庭(やにわ)」は「たちどころに」「いきなり」という意味があります。「矢庭に」の「矢庭」とは「矢を射る場所」を示し、「矢場を去らずに」という意味で解釈されるようになりました。そして、のちに転じて「その場ですぐに」という意味に発展した言葉です。

「一気呵成」は「急ぎで物事を終わらせること」

「一気呵成(いっきかせい)」とは「急いで物事を終わらせること」を意味します。ひと息に何かを成し遂げたり、また一気に文章や詩を書き上げることなどを意味する言葉です。

「一気呵成」の「一気」は「ひといきに」、「呵成」には「わっと一度に成す」という意味があります。たとえば「一気呵成に報告書をまとめる」は「大急ぎで報告書をまとめる」という意味です。

「なし崩し」を英語で表すと?

英語では「Pay back one’s debt little by little」

「借金を少しずつ返済する」は英語で「pay back one’s debt little by little」となります。それぞれ「pay back」は「返済する」、「debt」は「借金」、「little by little」は「少しずつ」という意味です。

また、状況によって「ゆっくり着実に」という意味を強めたい時は「slowly but surely」という言い回しを使っても良いでしょう。

「tidy up」「finish up」を使った英語表現も

「物事を片づける」という意味の英語は「tidy up」や「finish up」などを使います。「なし崩しに」と表現するには、「少しずつ」や「焦らずに」などのフレーズ「bits by bits」「without rushing」を付け加えれば完成です。

たとえば、「Let’s finish up a pile of work little by little(山積みになった仕事はなし崩しに片づけていこう)」のように使うとよいでしょう。

まとめ

「なし崩し」は漢字で「済し崩し」と表記し、「借金を少しずつ返済すること」また「物事をちょっとずつ片づけること」という意味を持ちます。もともと「借金返済」に対してのみ使われていました。また、「なし崩し」は使い方の間違いが多い言葉の一つです。正しい意味を理解して使うようにしましょう。

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snowymt11
都内私立大卒(経済学部)、旅行会社、中堅商社を経て、豪州に移住。母親に小さい頃から「ことわざ」「言い伝え」「四字熟語」を毎日聞かされていた経緯あり。読んでいて疲れない記事書きがモットーです。日本最高!