「現れる」と「表れる」の違いや使い分けは?類語「顕れる」も解説

「現れる」と「表れる」には「隠れているものが見えてくる」という共通の意味がありますが、状況によって使い分けがされています。この記事では、「現れる」と「表れる」の意味と違いを解説し、使い分け方の基本と「効果」「症状」「成果」と組み合わせて使い分ける応用方法も紹介します。

「現れる」と「表れる」の意味と違い

「現れる」の意味は「姿を見せる」

「現れる」とは「今までなかったものが姿を見せる」という意味と、「隠れていたものが際立って見えてくる」という意味があります。

「現れる」の「現」という漢字には、「現在の」または「今の」という意味があります。「出現」や「現実」という言葉があるように、「現れる」はまさに今見えているということに重点が置かれた表現です。

「現れる」の例文
  • いないと思っていたはずの娘が現れて、家族全員、驚いた。
  • 雲が切れて、月が現れた。

「表れる」の意味は「見えていなかったものが表に出てくる」

「表れる」とは、「今まで見えていなかったものや隠れていたものが表に出てくる」という意味です。特に「感情や性格、思想などの抽象的なものがその人の行動や表現として表立ってくること」を指しています。

「表れる」の「表」という漢字には、「おもて」や「あらわれた物事の面」という意味があります。つまり「表」はおもてにあらわれ出たときの表面に着目されている漢字で、「表情」や「表現」といった言葉に使われています。

「表れる」の例文
  • 微笑むことは自信の表れ。
  • いつもは気丈な友人でも、試合に負けた後はつらさが表情に表れた。

「現れる」は物理的「表れる」は抽象的

「現れる」と「表れる」の両方とも「見えていなかったものが見える」という意味があります。しかしこの二つには「物理的にものが見えてくるか、抽象的なものが見えてくるのか」という違いがあります。

「現れる」は、物理的にものが見えてくるときに使われる言葉です。実際にものやものの形が見えてくるときに使われるため、対象が触れるかどうかという点も判断材料になるでしょう。実際に触れるものが出てくるときに「現れる」を使います。

一方、感情など抽象的で実際に触れられないものが見えてくるときに「表れる」を使います。

【基本】「現れる」と「表れる」の使い分け

「人があらわれる」は「現れる」を使う

「人」のように物理的に事物が見えてくるという意味の「あらわれる」は「現れる」が使われます。人の他にも、実際に触ることができるものが見えてくるという場合には「現れる」を使うのが基本です。

「感情や想いがあらわれる」は「表れる」を使う

人の場合でも、対象が「感情や想い」などが表に出てくるという意味では「表れる」を使います。触ることができない抽象的なものは「表れる」を使うと覚えておくとよいでしょう。

【症状・効果・成果】「現れる」と「表れる」の使い分け

【症状】「現れる」を使うことが多い

病気などの「症状」には、「現れる」と「表れる」どちらも使われます。どちらかと言えば、症状が出現するという意味合いで「現れる」が使われることが多いです。

発熱や咳など、目に見えるものでも触ることもできないという意味では「表れる」も間違いではありません。症状には、「現れる」と「表れる」の両方を使えると覚えておいてよいでしょう。

【効果】使い分けは効果の内容で変わる

「効果があらわれる」と言いたいときには、「現れる」と「表れる」の両方の漢字が使われます。ただし、相手に伝えたい「効果の内容」によって、「現れる」と「表れる」が使い分けられます。

例えば、「薬を飲んでその効果があらわれてきた」と言いたい時に、体の内部で薬による作用が働き変化があり、それを効果としてあらわしたいのなら「表れる」が使われます。なぜならこの場合の「効果」とは、具体的に目で見てとらえられる効果ではなく、その人の主観によるものだからです。

一方、「薬を飲んでその作用として体の表面などに具体的に見えてきた」という意味で「あらわれる」を使いたいのなら「現れる」を使います。なぜならその薬の作用が目で見ることができるからです。

どんな効果があらわれて、その内容次第で「現れる」と「表れる」が使い分けられます。

【成果/結果】「現れる」と「表れる」どちらも使う

「成果や結果が出る」という意味の「あらわれる」でも「現れる」と「表れる」の両方が使われます。成果や結果は抽象的なものであるため「表れる」が正しいという考え方もあれば、成果や結果を一つの出来事であり、それをもののようにして扱うことで「現れる」のほうが合っているという考え方もあります。

「成果」や「結果」に関して「現れる」と「表れる」の使い分け方には明確な決まりがないため、個々の考え方が反映されていることが多いです。

「現れる」と「表れる」の類語

「顕れる」の特徴は「顕著」「はっきりする」

「顕れる(あらわれる)」は「隠されていたものが出てくる」という意味で、「現れる」や「表れる」の類語といえる言葉です。ただし、「顕著(けんちょ)」の熟語があるように「顕れる」は「はっきりすること、明らかになること」に重点が置かれています。

たとえば、「今までの善行が顕れる(明らかになる)」「隠していた悪事が顕れた(発覚した)」のように使われます。また「顕れる」は、常用外漢字のため使われる頻度は少ないという点も特徴です。

「露れる」の意味は「むき出しになる」

「露出」や「露見」などに使われる「露」を用いた「露れる(あらわれる)」の意味は、「むき出しになる」です。前述したほかの「あらわれる」という言葉と同様に、「隠れていたものが見えるようになる」という意味もありますが、隠していたものが取り払われて見えるようになるという状況をさして使う言葉です。

ややネガティブな意味合いで使うことが多く、たとえば「押し殺していた悲しみが怒涛の如く露れた」のように使われます。

「現れる」と「表れる」の英語表現

「現れる」は英語で「appear」

物理的にものが見えてくるという意味の「現れる」は英語で「appear」です。

「appear」という動詞は、「現れる」以外にも「出現する」や会議に「出席する」、または番組に「出演する」などの意味があります。具体的な形として姿を現すことを表現するときに「appear」は使われます。

「appear」を使った例文

“The popular actor appears on the stage.”
人気の俳優がステージに現れる。

「表す」は英語で「express」

感情などの抽象的なものが「表れる」を英語で直訳することは難しく、その代わりに抽象的なものを「表す」という意味ならば英語で「express」を使って表現できます。

「express」は「エクスプレス特急」のようにカタカナ語にもなっている言葉で、「早い」という意味の形容詞としてご存知の方もいるでしょう。しかし「express」を動詞として使った場合、何かを言い表すときの「表す」や「表現する」という意味になります。

「express」を使った例文

“I can’t express how beautiful she is.”
私は彼女がどれほど美しいかを言い表せない

まとめ

「現れる」と「表れる」の使い分けは、原則として物理的なものが見えてくるという意味では「現れる」を使い、抽象的なものの場合は「表れる」を使います。しかし、「効果」「症状」「成果」などでは使い分け方が明確にならないケースもあり、その場合は「あらわれる」のようにひらがなで書くというのも書き表し方のひとつです。

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「難解なワードでもわかりやすく」をモットーに、常識ワードからビジネス用語、時には文化・アート系など、幅広く記事を書かせていただいています。ドイツ在住で2児の母。好きな食べ物はビターチョコレートとナッツ類。