「お伺い」の意味とは?敬語表現やメールでの使い方・類語の例文も

「10時にお伺いします」「1点お伺いしてもよろしいでしょうか」など、ビジネスで「お伺い」を使うことは多いのではないでしょうか。実はこの「お伺い」、敬語として使う場合には少し注意が必要な表現です。「お伺い」の意味をはじめ、使い方や二重敬語について詳しく解説します。加えて類語、英語訳も紹介します。

「お伺い」の意味と敬語表現

「お伺い」は「聞く(質問)、行く(訪問)」の謙譲語

「お伺い」は動詞「伺う」が原型で、「聞く(質問する)、行く(訪問する)、尋ねる」の謙譲語としての意味を持つ単語です。謙譲語とは「自分の動作をへりくだっていう語」のことで相手に敬意を示すために用いられます。

また「伺い」自体にも、「目上の人に指示を仰ぐこと」や「聞くこと、訪問すること、尋ねることなどを意味する謙譲語」との意味があります。

「お伺いします/お伺いする」は本来「二重敬語」

「お伺い」は、「お伺いします」の表現でよく使われます。「お伺いします」とは、動詞「伺う」に丁寧語「ます」と接頭辞の「お」を付けた表現です。これは複数の敬語を重ねた表現で「二重敬語」と呼ばれ、本来であれば文法的に誤りとされます。「お伺いします」ではなく「伺います」で謙譲の意味を持った表現として使いましょう。

ただし、「お伺いします」に関しては、一般的に広く浸透した表現であることから、慣習的に問題ないとされています。同様に「お伺いする」も習慣として定着している表現として許容されています。

「お伺いいたします/お伺いさせていただきます」は控える

「お伺いします」は二重敬語でも慣習的に問題とされないのに対し、「お伺いいたします」や「お伺いさせていただきます」という表現は、過度な敬語表現として避けるべきとされることが多いです。

特に「お伺いさせていただきます」は、「お伺いいたします」よりくどい印象を与えかねませんので、避けたほうが無難でしょう。

「お伺い」の使い方と例文

「行く(訪問する)」という意味での使い方

「訪問する」や「行く」という意味では先に解説した「お伺いします」のほか、「お伺いしてもよろしいですか」の言い回しでもしばしば用いられます。いずれも、こちらから目上の人のところへ出向く場合に使う表現です。「お伺いしたいのですがよろしいですか」という表現もよく耳にするものです。

例文
  • 明日は10時にお伺いしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 火曜日にお伺いしてもよろしいでしょうか。

なお「お伺い」ではなく、「伺います」「伺いたく存じます」「伺ってもよろしいですか」という表現でも敬語としては問題ありません。

「聞く(質問する)」という意味での使い方

「聞く」や「質問する」という意味で「お伺い」を使う場合も使い方に大きな違いはありません。「1点お伺いしてもよろしいですか?」と確認した上で相手に質問する場合や、「~についてお伺いします」や「Aさんにお伺いします」などの表現も可能です。

「お伺い」という表現を使わない場合は「1点伺いたいのですがよろしいですか」や「お話を伺いたく存じます」などとすることができます。

「お伺いを立てる」とは「意見を求める」表現

「お伺いを立てる」とは、問題がないか確認すること、意見を求めることを意味します。この場合の「伺い」は「目上の人の指示を求めること」という意味が近いでしょう。単に「聞く、質問する」というより、確認したり意見を求めたりする際に使います。

ただし、意見を求める相手に対して「お伺いを立てさせてください」という言い回しで使うことはありません。ややくどさを感じさせるため、「伺わせてください」あるいは「お伺いしたいのですが(伺いたいのですが)…」などシンプルな言い回しがベターです。

「話は聞いています」という意味で使う

「話は聞いています」を謙譲語で表現すると「お話は伺っています(伺っております)」となります。この場合「伺っています」とするのが正しい使い方ですが、「お伺いしています」「お伺いしております」とすることもあります。「お伺いします」同様に、敬語として許容されている表現です。

ただし、身内に聞いた話に対し「伺っています」と使うことはできません。たとえば「○○様からお話は伺っております」というのは正しいですが、「上司の佐藤から伺っております」と使うのは誤りです。身内に聞いた話は「上司の佐藤から聞いております」と表現します。

メールの件名に【お伺い】と使うことも

何かを問い合わせる際や相手に聞きたいことがありメールを送る場合、件名に「お伺い」と書くことがあります。たとえば、件名に「納期に関するお伺い」と書くと、メールを受信した人が件名を一目見て、納期に関する質問だと判別できます。「【お伺い】納期に関して」として使用することも可能です。

「お伺い」が二重敬語であることは先にも触れたとおりですが、メールの件名に使う場合「伺い」とすることはあまりありません。この場合の「お伺い」も慣習的な使い方として覚えておきましょう。

「お伺い」の類語・言い換え表現とは

類語1「お聞きする」は「聞く」の謙譲語

「聞く」の謙譲語は「伺う」以外にも「お聞きする」が挙げられます。たとえば、「~についてお聞きします」「お聞きしてもよろしいでしょうか」「お聞きしたいのですが」などの言い回しで使用可能です。

また、「聞く」の謙譲語では「拝聴」もあります。「拝聴」は「つつしんで聞くこと、ありがたく聞くこと」という意味で、「○○については拝聴しております」などの使い方をします。

類語2「参る」は「行く」の謙譲語

「行く」の謙譲語には「参る」が挙げられます。「参る」は、自分が目上の人のところへ行く場合に使用する表現で「これから参ります」「当日は佐藤と山田が参ります」のように使用可能です。

「参る」と「伺う」の使い分けのポイントは、行く先に敬意を払う必要があるかどうかです。「参る」は行く先に敬意を払う相手がいなくても使用できるため、「京都へ参ります」のように場所を指して使うことができます。一方の「伺う」は「ご自宅に伺います」のように敬意を払う人がいる場所を指して使用するのがポイントです。

類語3「お尋ね」は謙譲語にも尊敬語にもなる

「お尋ね」は動詞「尋ねる」が原型で、「探し求める、質問する、訪問する」という意味を持ちます。「お尋ねする」「お尋ねしてもよろしいでしょうか」などの表現で、目上の人に対して使うことができます。「遠慮なくお尋ねください」という表現でもしばしば耳にします。

一方で、「部長が先日お尋ねになった件ですが…」のように尊敬語として使うことができるのもポイントです。

「お伺い」の英語訳

英語に敬語はないため「visit」でOK

英語には日本語のように敬語はありません。そのため「訪問する」という意味の「お伺い」は「visit」で表現します。たとえば「今週木曜に御社にお伺いします」は「I’m going to visit your office this Thursday.」となります。

また、「会う」という意味を持つ「see」を使い「I will see you later.(後ほど伺います)」といった英訳も可能です。

「お伺いしたいのですが…」と前置きに使える英語

日本語で「一つお伺いしたいのですが、よろしいですか?」という場合、英語では単に「May I ask you something?」「I have something to ask you.」と表現することが多いでしょう。「質問してもいいですか?」「聞きたいことがあります」とシンプルに英訳するのがポイントです。

まとめ

「お伺い」は「伺う」という動詞が原型で、「聞く、訪問する」の謙譲語として用いられます。元々「伺う」という語に謙譲語としての意味が含まれるため、「お」をつけて「お伺いします」とすることは二重敬語となりますが、広く浸透した使い方であることから一般的にタブーとはされていません。ただし、「お伺いさせていただきます」とさらに敬語を重ねた表現は、ややくどい印象を与えるため避けた方が無難です。また「お」をつけずに「伺います」「伺いたく存じます」としても謙譲の意味を表現することは可能です。